特集コラム

Column 9 荻窪グルメ

荻窪グルメ
2011/09/21

誰にも教えたくない。食通の間では話題の店―Valinor

「今日は肉料理にしたから来週は魚料理にしよう」

隣の席のご夫婦がそんな話をしていた。平日の午後1時過ぎ、今年4月に荻窪にオープンしたばかりのフレンチレストラン「ヴァリノール」は、満席だ。荻窪駅南口から線路沿いを歩いて5分。新築のビルが、周囲から浮き立つように建っている。その1階がヴァリノールだ。

入口を入ると思ったより奥行きが広い。マホガニーブラウンのシックな内装。でも不思議と明るさを感じるのは、壁にずらりとかけられたポップでカラフルな絵画のせいだろうか。奥にはピカソの版画が!

お目当ては1,500円のランチ。

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1,500円のランチは前菜・メイン料理(肉か魚)・デザートという構成だ。 シェフの相原薫さんは、「ラ・マーレ・ド・チャヤ」を経て渡仏。3年間フランスやスイスのレストランで修行をし、「銀座レカン」の副料理長を5年間務めた。

その後「レヴェランス」の総料理長を経て、今年の4月11日に荻窪に「ヴァリノール」をオープンした。相原シェフの作る本格的なフランス料理が1,500円でいただけるのはうれしい!(ちなみに前菜・肉・魚・デザートのフルコースでも3,000円とかなりお得になっている)

モダンでスタイリッシュなお料理は、ソースが飛びきりおいしい!

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まずは前菜。「明石産ハゼのフリット 赤玉ねぎソース」。かりっとした衣と滑らかな白身の対比が素晴らしい。白ワインがすすむ!

赤玉ねぎは、京都で400年続く専業農家、樋口農園さんのもの。(樋口農園さんの野菜をまわしていただけるお店は都内でも数少ないとか)香り高くコクがあり、印象的なアクセントとなっている。

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そしてメイン料理「マコガレイの黒胡麻ソース」。じっくりと時間をかけて火を入れた北海道産のマコガレイはジューシーで、ナイフを入れるとじわりと焼き汁があふれる。

薫り高く濃厚な黒胡麻ソースと新鮮でジューシーなマコガレイの滑らかな白身がしっとりと舌の上で溶け合い、至福の時がおとずれる…。

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そしてデザートは…「てんさい糖のアイスクリーム」。別添の塩味のメレンゲのフレークをかけていただく。塩メレンゲにはピンクペッパーが少し入っている。

アイスクリームだけをいただくと、てんさい糖の優しい甘さが口に広がるのだが、そこに塩メレンゲが加わると、甘じょっぱくスパイシーで、なんだか不思議な、それでいてとんでもなく美味しい味になる。 とてもほっこりした気持ちでコースを締めくくり、コーヒーをいただく。満ち足りた時間。

相原シェフのお料理をいただくと、魚を採る人、野菜を育てる人、それぞれの仕事に従事する人が大切に食材を食卓に送り出す姿が見えてくる。シェフは毎日明石の漁師さんに電話をしては、「今何が美味しいか」をきいて魚を仕入れているそうだ。食材のテキストに載っている型どおりの「旬」とは違ったリアルな「おいしいところ」が手に入る。

立派な経歴をお持ちだが、シェフは若くて、ほんわかした笑顔のかわいらしい方だ。スキのない料理、ラブリーでリラックスできるヴァリノールというレストランの持つ世界は、この方のお人柄そのものなのかもしれない。

Valinor(ヴァリノール)
住所:東京都杉並区荻窪4-32-7 アマン 1F
電話:03-6383-5148
営業時間:昼 11:30-13:30(L.O) / 夜 18:00-21:30(L.O)
定休日:水曜日

文・取材 / 海風美保子

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