特集コラム

Column 3 荻窪名所探訪

2011/05/02

読書の森公園

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JR荻窪駅近く、線路と青梅街道の立体交差から南に歩くと「読書の森公園」があります。平成14年に区民の厚意で寄贈された土地を、みどりに触れながら読書に親しむことができる公園として整備された場所です。

園内には、「アンネのバラ」が植えられています。これは、アンネの父親であるオットー・フランクさんより高井戸中学校の生徒たちへ贈られたバラです。平和を願う『アンネの日記』に感銘を受けたベルギーの陶芸家が「アンネのバラ」を作り、オットー・フランクさんに贈りました。昭和50年(1975)に『アンネの日記』を学んだ高井戸中学校の生徒たちが感想文集をオットー・フランクさんへ贈りました。翌年、オットー・フランクさんから「アンネのバラ」が贈られました。高井戸中学校の生徒たちを中心に、多くの協力者により大切に育てられています。

草花のほかにも、「読書の森公園」に行くと、隆起した丘や、東屋もある池という特徴的な地形に気がつきます。「読書の森公園」は、『荻窪風土記』(井伏鱒二)に描かれたころの善福寺川をイメージして設計されているそうです。

「読書の森公園」には、谷川俊太郎の詩を描いた絵本の1ページや、北原白秋訳のイギリス伝承童話『まざあ・ぐうす』の抜粋や、絵本『ちいさなねこ』からとった絵と文のプレートがあります。また、外周の植え込みには、『荻窪風土記』から引用した碑があります。その中の一つ「『荻窪風土記・善福寺川』より」の碑には、井伏鱒二が井荻村(杉並区清水)に引っ越してきた当時の荻窪の様子が描かれています。一部を紹介すると、「川南の善福寺川は綺麗に澄んだ流れであった。清冽な感じであった。知らない者は川の水を飲むかもしれなかった。川堤は平らで田圃のなかに続く平凡な草堤だが、いつも水量が川幅いっぱいで、昆布のように長っぽそい水草が流れにそよぎ、金魚藻(きんぎょも)に似た藻草や、河骨(こうぼね)のような丸葉の水草なども生えていた」と、当時の様子が記されています。

「読書の森公園」は隣接する中央図書館と一体化しており、図書館で借りた本をベンチや芝生で読むことができるという、全国的にも珍しい公園です。

読書の森公園
住所:東京都杉並区荻窪3-39-16

文・取材 / 竹内みちまろ

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