Column 3 荻窪名所探訪
荻窪八幡神社
JR荻窪駅北口を出て、青梅街道を善福寺公園方面へ歩きます。杉並公会堂を過ぎ、荻窪警察署までたどり着くと、道路を挟んだ警察署の向かい側に、荻窪八幡神社があります。
荻窪八幡神社は、建立が平安時代までさかのぼるといわれています。
八幡神社は、応神天皇を主神とし、比売神(ひめがみ)、神功皇后を合わせてまつることもあります。摂社らを含めると全国に4万社以上あるといわれる八幡宮は、最も身近な神社の一つです。
八幡様には、多くのエピソードが伝えられています。奈良東大寺の大仏建立のさい大仏に塗る金が足りなくなってしまいました。神霊となった八幡様から金が国内から出ると託宣がありました。実際に、その後、陸奥国から金が献上されました。「宇佐八幡宮神託事件」も有名です。皇位を狙ったとされる道鏡派に対し、朝廷は、和気広虫(わけのひろむし)の弟・和気清麻呂(わけのきよまろ)を宇佐神宮に派遣し、八幡様からお告げがあったと主張する道鏡派の進言を確かめます。
八幡様は、武運の神様としても有名です。平安時代に起きた「前九年の役」のときには、陸奥守・鎮守府将軍に任命された源頼義が、奥州へ向かう途中、荻窪八幡神社に立ち寄り戦勝を祈願したと伝えられています。
荻窪八幡神社境内にあるコウヤマキの巨木は、「道灌槇(どうかんまき)」と呼ばれています。これは、関東官領上杉定政の命を受けた江戸城主太田道灌が、石神井城を攻める際、源氏の故事にならって、荻窪八幡神社で戦勝を祈願し植樹したものといわれています。
一根二幹だった「道灌槇」は、昭和期に暴風雨のため折損し、現在のように一幹となってしまいました。「道灌槇」は、現在も、荻窪の人々に厚く信仰されています。
「道灌槇」のほかにも、区内には、「道灌橋」「道灌坂」など、太田道灌からとった名称が複数あり、石神井はじめ、江古田、豊島周辺で繰り広げられた戦いの跡をしのばせます。
荻窪八幡神社にある狛犬には、延宝7年(1679)の銘があります。区内で最古のものとなります。
荻窪八幡神社
http://www.amy.hi-ho.ne.jp/ogikubo-hachiman/
住所:東京都杉並区上荻4-19-2
連絡:電話03-3390-1325・FAX03-3396-5898